羨望
脆弱な あまりにも脆弱な僕ら
政治の腐敗 経済の破綻
自然の脅威に晒され 問い直す
隔離 人権 南京錠
危機的状況における 特効薬は
現在のところなさそうだ
社会規範を刷り込まれ 内在化する私という思考
危機的状況において
僕らを動かすのは 羨望
浮き彫りになる 羨望
羨望は社会を動かす 差別する 攻撃する
匿名だから顔は見えない 正体不明
それでも 僕ら 問いを立てる
ただ その場を凌いだり やり過ごしたり
してるだけじゃないんだよ
反社会でも 非社会でもない やり方で
補助線を引くんだよ
強い者が弱い者を虐げて支配するスピードが加速する
僕ら弱いけれど 弱いことは悪いことじゃない
その方向へ シフトしないといけないな
誰かの悲鳴を聴いて プライベートをサーフする
夏詣
蝉の声を聴きながら
茹だる様な暑さの中
石段を登る
汗だくになりながら
この町で一番高い場所へ
冷房の効いた部屋でネットの生活は
快適ではあるが 実感が乏しくていけないな
この場所で一番高い場所で
シャラリーンシャラシャラと
音がするので 見上げると
100の風鈴が 1000の風に吹かれているのを
僕は見た
手を合わせ 亡き人を想い
何度目かの夏を実感したんだよ
天使
バイアスがかかっており バイパスが閉じている
そのため 魚になって夜を泳いでいたら
水槽が膨張して BANGと弾けて 危うく死ぬところでしたが
それでも 朝になれば コーヒーを飲みたくなり タバコを吸いたくなり
気分が悪いまま 寝ぐせのまま 顔も洗わず
それでも マスクは忘れずに コンビニに向かう途中
そんな朝 双子のベビーカーを押す母親が視界に入ったんだよ
左側のベイビーが不機嫌にしかめっ面をしていて
右側のベイビーがニコニコと笑っていて
それを見てたら 何とも言えない気持ちになって
ちょっと幸せな感じで おかしくて笑ってしまったのでした。
heavy air
ある男がきれいな水を探し求めていたんだよ
彼らは水を売って暮らしてる 彼らの顔は見えない
彼らの声は聴こえない 彼らと集団により
ある男は追放され 監視され 孤独の中 死んだ
重い空気に世界が徐々に動かくなる
重い空気に世界が徐々に動けなくなる
重い空気に視界が徐々に狭くなる
バイアスがかかってる 抑圧が加わる
強い風が吹き 水になり 流れていければよいのだが
強い風が吹き 音になり 動き出せればよいのだが
ミネラルウォーターで暮らしている
土の感触が恋しい 空には住めない
彼女はきれいな水を探し求めているんだよ
そして僕は ある朝 マンホールから汚水が
噴出されるのを見るだろう