ゴールドムーン

天気読みをする彼女

山と海と空は水で繋がっている

そうかもしれないな

そんな世界を黄金の満月が照らす

僕は小舟で河を下る途中

僕が月を見ているのだが

月が僕を見ているような

何だか見守られているような

小舟はゆっくりと河を下り

やがて海へ出る

潮は満ち 潮は引く

柔らかな月光に包まれて

僕は水に浮く 

そこは始まりであり

そこは終わりであり

天気読みをする彼女とゴールドムーン

 

brand-new-letter

外壁に蔦が絡まるビルの2階

老舗の珈琲店 気難しいマスター

何時もエリックサティが流れてる

アイリッシュコーヒー プリーズ

 

何だかとても 疲れていたけれど

窓際で 陽光を浴びて輝く

葉脈を眺めていたら

ちょっと幸せな 解像度

まだ 見える まだ 聴こえる

古い店での brand-new-letter

ps ジャンピングシューズを買ったよ

久しぶりに会おうよ

 

september

暑くも寒くもない

とても晴れた日の午後

川までの道を歩く途中

爽やかな風が吹いてる

向日葵 夏の名残り

少し惜しむように

まだ 咲いてる

piece peace

小さく手を振る

 

暑くも寒くもない

とても晴れた日の午後

緩やかな傾斜の先に

ゆっくりと水が流れてる

秋桜 風に揺られ

気持ち良さそうに

いま 咲いている

peace piece

小さく手を振る

 

today

今日は誰とも会っていないな

今日は誰とも話をしていないな

今日は部屋から出てないな

水槽の魚が共食いを始めた

レインコートがないな

レインブーツがないな

空が落ちてきて

昼が夜になって

雨はざーざーと降り

風はびゅーびゅーと吹き

潜在的に既にあった問題が

顕在化する夜

暗闇を恐れる子供みたいだ

ありふれた

止まない雨はない

明けない夜はない

そんな言葉に縋ったりして

空が落ちてきて

昼が夜になって

 

それでも気づいたら

あくる日の

空は清々しく

空気は澄んでいて

陽射しは柔らかく

風は穏やかで

その中で笑う彼女

何だか昨日の夜が恥ずかしいような

そんな明日を待っています 願わくば

ミツバチとエトセトラ

豪い雨に降られ

酷い暑さに項垂れ

熱い波にさらわれ

厳しい視線に晒され

強い風に煽られ

時間に追われ

ニュースを見てる

 

希望のメッセージを送れないな

希望のメセージが届かないな

路上でミツバチが死んでいる

 

Lost Sky Diary

天空を失った 僕ら

空を仰げない

それでも 見えないシャッターで

閉ざされた この街で

地べたを這いつくばって

這いずり廻って

スペースを見つける

フリースペース

そこを拡張することが

2021年夏 8月の課題

問題は山積み

宿題は手付かずだけれど

想像してみる

ほら 解放区だよ

天空を失った この夏のDiaryを綴るよ

僕らの